MYOJO 2014年8月号 10000字インタビュー感想

 Jr.時代に推してもらえなくても、反対に数年後に推されてソロデビューまですることになっても、辞めたいという気持ちになったやまちゃん。それならば彼はどうなりたいのだろうか。

 辞めようとした理由とは。本当に辛かったのは推される推されない云々ではなく、大切な人の笑顔が見られなかったことなのかな。Jr.時代は応援してくれる家族の笑顔が、ソロデビュー時はメンバーやファンの笑顔が。(正確には後者の場合見られないだろうとやまちゃんが予想してしまっただけなのだが) そう考えると、スク革での“普通キャラ”は彼にとってはとても居心地の良い立ち位置なのかもしれない。自らの存在を確かにアピールしながらも悪目立ちすることなく、みんなを笑わせることができる。思い出すのはJUMParty vol.3(ボーリング編)で「僕普通なんですね~!」と嬉しそうに発言していたこと。ここでまでそのキャラ使うのか!と、強く印象に残ったのだ。

 自分も含め山田担は「やまちゃんにこうあってほしい」という強い願望を抱く人が多いように思う。それってどうなのだろうかと思ってきたのだが、10000字を読んだことで考えを改めた。やまちゃん自身が人の期待に答えるのが好きな人なのだ。彼にとっての理想の自分は「みんなの理想を叶える自分」であるような気がする。

 更に、やまちゃんは険しい山道を登るのが好きな人。登り切った先のことは考えていない…いや、登り切れるとは思っておらず、頂上へ向かい必死に努力する過程を好む。しかし予想に反し登り切ってしまった。しかも、辿り着いた場所にあったのは、目指していた景色とはあまりにも違うものだった。無論そこには達成感よりも戸惑いが多く存在した。なぜなら彼は自らをひとりだと思ってしまったから。ここで、インタビュー前半にあるサッカー少年時代の話が生きてくる。望んで得た立場ではないのに苛められたトラウマ。更には当時嫌いだった、上手いからといって個人プレーをしていた子に今の自分が重なってしまう。苦労の末辿り着いた頂上で得られたのは、誰も喜んでいないのではという不安感のみだった。

 しかし、サッカーチームとHey!Say!JUMPは違う。やまちゃんの立場が100%望んで得られたものではないことくらい皆が分かっている。勿論、苛められるはずもない。それに、メンバーはやまちゃんのソロデビューを個人プレーだとは捉えなかったのではないだろうか。本人は置いていくようだと感じていたようだが、メンバーはやまちゃんだけが先を行くなどとは微塵も思わなかったのではないだろうか。やまちゃんが進めば必然的にグループとして皆も一緒に前に進める。それが、アイドルグループHey!Say!JUMPと全員が1つのボールを追いかけて勝利を目指さなければならないサッカーチームとの違い。

 やまちゃんの目指すHey!Say!JUMPとは、球体のようなものなのかもしれない。センターも端もなく、転がり続けることで、どこに位置しようと誰もが世間の目に触れる。1人欠けただけでもう動くことはできない。そして、 全員の息が合っていなければ真っ直ぐには進めない。同じ気持ちで、同じ強さで進もうとすればするほど、滑らかにどこまでも転がってゆける。

 今のやまちゃんは、自分のためとは言えど結局はグループのために険しい山を登っているように思う。でも今回は頂上に辿り着いたとき、ひとりじゃない。みんなで喜べるね。みんなの笑顔が見られるね。努力して良かったなと心から思えるね。